100m、200m、110mh、100mhなどの種目では予選や準決勝で着順の確保が確実と思われた時、フィニッシュまで全力で走らず明らかに力を抜いて走り抜けることがある。一般的には流すっていう動作。最近、このフィニッシュ前での流し動作はやらない方が良いんじゃないかと思っている。その考えを110mhにおけるレース経験をもとに書いてみる。
先ず、110mhにおいて流す区間といえば主に10台目を越えてからフィニッシュまでの14.02m。ベテラン選手ともなれば、ハードルがある区間からでもスピードを調整して流し気味で走れるが中学生、高校生のほとんどは10台目を越えてからになると思う。
自分も、高校生、大学生の時は着順確保が出来ると確信した時は10台目を越えてから流していた。しかし、最近になって10台目を越えてからの14.02mの大切さを強く意識する様になってきた。思えば、この区間での逆転は110mhでは頻繁にある。レベルの高い大会のレースはフィニッシュまで接戦が続き、最後の14.02m区間の走りで捲ったり、捲られたりする。
自身の体験では、インターハイの決勝、関東インカレの決勝、日本インカレの決勝は今でも記憶に残る接戦だった。この3つのレースでもしもう少し上手く最後の区間を走れたならば、順位が一つ上だったのではないかと思う。
そこで、どうして日々のレースで流すことをやらない方が良いと思っているかについて。
先ず、一つはレース途中に気を抜いてしまう癖が身体に染みついてしまうと考えているから。インターハイの準決勝の時、1位でフィニッシュはしたが、2位との差は流せる程ではなかった。しかし、10台目を越えて1位を確信した時に一瞬気が抜けて力が抜けた。慌てて気を戻してフィニッシュしたけれど、もし流していたら抜かれていたと思う。頭では、流してはいけない差だとわかっていても、一瞬だけ気が抜けた。あれは、それまでに流し続けて来た積み重ねがそうさせたんだと思う。フィニッシュした後、おれは何をしているんだとちょっと責めた。
もう一つは、先にも述べた様に110mhにおいては14.02mの区間の走りが勝敗を大きく左右する。そのため、フィニッシュまでレースの全体像を作って走らなければいけないため。100mや200mのフィニッシュも大事だろうが、110mhはもっと大事。いつも流してこの区間を疎かにしている人が、大事な時だけ上手く走ることなんて出来ない。接戦の時になって、初めてスイッチが入るのでは遅い。それに接戦の時は、必死すぎてたいてい動きは悪くなる。余裕のある予選、準決勝の時こそ最後の区間で走り勝つためのシュミレーションを持って走るべきだと考えている。
これは少し考え方が違うが、一本、一本を大切にするためでもある。この前の日体大競技会で今までに無い感情が沸き起こった。自分は、後何回スタート地点に立てるだろうかと。もしかしたら、今年で終わらなければいけないかもしれない。このレースで最後になる可能性だってあるよなって。そう思った時に、一本の大切さに気がついた。もし最後のレースならば流すなんてことはしない。精一杯フィニッシュするはず。無限にあると思われていた、レースは実はそうではない。だから、流さない。
流さないことを主張してきたが、予選も準決勝も全体力を振り絞って走るべきと言っているわけではない。レース全体の流れを区切らない様に、フィニッシュまでを意識して走るべきと言う事。大学の先生でも流すことを嫌う人はいる。高校生は、地方で圧倒的な力を持っている人は流し癖がついていることがある。インターハイでは気をつけた方が良い。大事なところで失敗しないためにも、安易な流しは気をつけよう。
コメント
コメント一覧 (2件)
投稿記事の観点がすばらしい。この点においては、ジュニア期の頃から指導してといけないと考えています!!
しかし、久しぶりですね。
いろいろと語りたいです!!!
そうだね。流し方というか、抑え方というか、そこまで考えさせて走る様に指導出来るといいよね。今度色々話せるように、頑張って勉強しときます!