110mh 泉谷駿介 動作分析

目次

はじめに

現110mh、日本記録保持者である泉谷駿介くんの動きを見て、私が感じたことを書かせていただきます。

110mhにおいて、私の実力が及ばないのは承知の上です。
私は、泉谷くんは世界記録を更新できるほどのポテンシャルを秘めている選手だと強く感じています。そして彼は順天堂大学陸上競技部の後輩であり、私は彼の大ファンでもあります。こうした思いから、あえて意見を述べさせていただきます。

リードアームの使い方

私が泉谷くんのハードリングで気になっている点は踏切直前にリードアームを上方向に上げている動きです。

このように踏切直前でリードアームを上方向に上げて踏み切る選手は一定数おり、問題ない場合もあります。ですが、泉谷くんの場合はこの動きが記録更新のネックになっていると考えています。

リードアームを上に上げることのデメリット

踏切のタイミングが早くなる

ハードル走を専門にやっていないと理解できないかもしれませんが、この動きをすると踏み切りのタイミングがほんの少しだけ早くなってしまうと考えています。早くなってしまうことで、力は上方向に逃げ身体は浮きます

もし、あと少しだけ踏切のタイミングを我慢することができれば腰が踏切足に乗る要素が増えて、上方向に逃げる力を水平方向に変えることができると考えています。

踏切のタイミングが早いと上に浮く

高い天井から吊るされたボールに手を触れるために助走をつけてジャンプする場面と、1メートル先の水たまりを助走してジャンプで越える場面をイメージしてください。

人が1メートルの距離の水たまりを越えるジャンプを行う場合、身体が踏切足に完全に乗り切り、少し前方に移動した瞬間にジャンプするはずです。なぜなら、その方が前方への推進力を得やすいからです。

一方で、上方向にジャンプする場合は、身体が踏切足に乗り切る前に踏切動作に移ることが多いでしょう。その方が、上方向に力を向けやすいためです。

ハードル走において、このほんの少しのタイミングの違いがハードリングに影響を及ぼすと私は考えています。そして、泉谷くんはこの踏切のタイミングがほんの少しだけ早いと考えています。

上に上げないように我慢する

では、この上方向に向いてしまっている力をどのようにしてより水平方向へ向けるか。その一つの方法が、ランニングの腕振りの形を崩さずに踏み切ることだと考えています。

この動画のホロウェイ選手を見てください。踏切直前に腕を上げないようにグッとこらえて我慢しているように見えます。そして、ランニングの腕振りの動きからそのまま踏み切っています。

そして、泉谷くんのいい時の動きはこの腕を上に上げる動きが若干抑えられているように見えます。

さいごに

泉谷くんが腕を上に上げてしまうことには共感できます。というのも、私自身も大学3年生の終わりまでその動きを顕著にしていたからです。また、泉谷くんは身長が高くないため、ハードリングにおける高さへの負担も大きいと思います。しかし、それらを考慮しても、この動きを改善することのメリットは非常に大きいと考えています。もちろん、一つの動きを変えることで別の動作に影響が出る可能性もありますが、泉谷くんはまだ24歳です。世界記録更新に向けて、さらなる進化を期待しています。

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この記事を書いた人

名前:深川 貴司/ふかがわ たかし
年齢:35歳
専門:110mh
ベスト記録:14.06
出身大学:順天堂大学
経歴:都立学校教員(6年)、現在はプログラマー(web系)へ転職💻
福岡在住

主な成績:全国高校総体(インターハイ)3位。関東インカレ3位。全日本インカレ6位。日本選手権出場。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • インターバル間で膝が潰れて腰が落ちてしまう時の対処法を教えて欲しいです

    • 膝が潰れて腰が落ちてしまう時は、ハードリングからの着地時に着地足に腰が乗り切れない時に起こることが多いと思います。
      または、単純に疲れによってスピードが出ずに身体が足に追いついていない時です。

      単なる技術的な改善だけではなく、スプリント力やアプローチの精度、ハードリングの改善などトータルで見ないといけない部分です。

      以前に見せてもらった動画では、腰が落ちているようには見えませんでした。極端に落ちていれば改善が必要ですが、十分に乗っている動きをしています。
      より理想に近づくには、トータルで体力を向上させるアプローチが最適だと思います。それは、全身の筋力の向上とスプリント力の向上です。それが向上すれば、腰が乗らずに落ちてしまう現象も軽減できるはずです。

      今の段階でハードリングのアドバイスとしてはハードリングをしてから着地までの間で走り急がずに、着地まで何もせずに待つことです。走り急ごうとすると着地の前に上体が起き上がってしまい姿勢が崩れることがあります。

      • わかりました。このシーズンはハードリングはきにせずスプリント伸ばすことに注力したいと思います。ありがとうございます

        • スプリント力の向上を中心に起きつつ、高い疾走感でハードリングをするために中学生男子の高さや女子100mhの高さで時々走るのも有効です。
          頑張ってください!

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