現在地を見抜き、「真の課題」に気づかせること
福岡に戻って3年が経とうとする中、久しぶりに高校生のハードル指導を行いました。そこで改めて感じたのは、「あぁ、やっぱりそこを気にしちゃうか。でも、今の課題はそこではないよ」という場面の多さです。
特にハードル走は、フォームである「形」に意識を奪われやすい種目です。選手が一生懸命になるほど細部に囚われるのは、ある意味で仕方のないことです。私自身もかつてはそうでした。
人は、本当に向き合うべき「本質的な課題」に、自分一人ではどうしても気が付けないのです。
だからこそ指導者の役割として重要なことは、溢れる情報と焦りの中から「今、この瞬間に必要なもの」だけを抽出するフィルターとなり、進むべき道を示すナビゲーターになることではないでしょうか。
労力とリターンを最大化し、成長の最短距離を走らせる
なぜ、指導者がフィルターとなって情報を削ぎ落とし、課題を絞らなければならないのか。それは、「選手には時間がないから」です。
限られた競技人生という時間の中で、どこにエネルギーを割くべきか。その選択が結果を分かちます。
「レバレッジ・ポイント」を見抜く
今の段階で何を改善すれば、最もタイムが短縮できるか。経営でいう「レバレッジ(小さな力で大きな成果を生む場所)」を見極めることが指導者の仕事です。
枝葉末節な改善に時間を費やすのは、あまりにも勿体ないです。
指導者は最も大きなリターンを得られる「真の課題」に集中させることで、選手の限られたリソースを爆発的な成長へとつなげる必要があります。
フィルターをかける重要性:集中が力を生む
人は、いくつもの課題を同時に解決できるようにはできていません。成長過程にある10代の選手なら、なおさらです。
あれもこれもと欲張って意識を分散させることは、結局どの課題もぼやけさせ、成長を鈍らせてしまいます。
余計なノイズを与えず、今解決すべき「効果の高い一点」にだけ集中させてあげること。
この「思考の整理」こそが、自分を信じて突き進むための、揺るぎない道筋になります。
おわりに
指導者とは、選手の現在地を冷静に見抜き、そこから一歩踏み出すための「真の課題」に気づかせる存在です。
選手にとって、最も成長効率の高い「一点」はどこか。それを代わりに必死に探して提示すること。
それこそが、選手の限られた競技人生という貴重なリソースを、無駄なく最大価値に変えるために大切なことだと考えます。

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