ウォームアップ(ウォーミングアップ)の目的

本を読んで、とても勉強になったのでウォームアップについて、まとめてみる。

温度が10℃上昇すると、化学反応は2~3倍になる。これをQ10の法則というらしい。生体の場合、筋温や体温の上昇は代謝機能を高め、運動能力を向上させる良いことがたくさん起こる。

まず、筋温が上昇すると、筋の粘性抵抗が減少し弾性要素が増すことで、筋力と筋収縮速度は向上し、柔軟性も向上する。さらに、筋温の上昇は活動筋への神経刺激の伝達速度を速くする。よって、複雑で繊細かつ統制のとれた運動実施が可能になるのである。また、血管は拡張し活動筋への血流量を増加させ、ヘモグロビンの酸素運搬能力を増大させるので、循環機能を高める。

次に筋は、瞬間的な収縮弛緩に対して非常に強いが、腱、靭帯、その他の結合組織は非常に弱い。したがって、主運動の前にこれらの結合組織を伸展すること、つまりストレッチは怪我の予防につながる。そしてこれは、これから始める主運動に対する動機づけや意欲の高まりといった心理的効果も含まれている。

この他、運動に対する各器官の適応速度を調整する働きもある。

神経系、筋系、呼吸系、循環系、内分泌系などは運動に対する適応スピードが異なっている。神経系はわりと速く運動に適応するが、血液や内分泌系の適応は比較的遅い。それ故に、運動開始時期に各器官の適応スピードの不揃いによって一時期的に体内で混乱が生じ、苦痛を感じる。これを死点(dead-point)と呼んでいる。しかし、この苦痛に耐え運動を続けていると、各器官が徐々に適応を始め、運動を楽に続けられる状態になる。この次の時点をsecound windと呼んでいる。ウォームアップの目的には、運動開始時に起こる死点(dead-point)をあらかじめ意図的に起こさせておくねらいがある。

なるほどですね。ここまで、知っていたらウォームアップに手は抜けません。理屈を知っていれば、効率的で合理的なウォームアップが出来ます。しっかり覚えます。 ask the doctor back link

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この記事を書いた人

名前:深川 貴司/ふかがわ たかし
年齢:35歳
専門:110mh
ベスト記録:14.06
出身大学:順天堂大学
経歴:都立学校教員(6年)、現在はプログラマー(web系)へ転職💻
福岡在住

主な成績:全国高校総体(インターハイ)3位。関東インカレ3位。全日本インカレ6位。日本選手権出場。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • アップで手を抜くと体ぜんぜん動かないし、
    下手すれば故障してる所が悪化します^^;

    でも、アップ長すぎても疲れるし短いと体動かないし、
    どれくらいやるかの加減って結構重要ですよね。

    • コメントありがとうございます。夏の暑い日のアップって難しいですよね。トップの選手の中には、少ししか動かない人もいますもんね。試合では、サブトラックがない競技場もあるので、ウォームアップのやり方には、常に工夫と環境への対応も求められますね。

  • 先日はお疲れさまでした。

    非常に勉強になる投稿です!!
    引用文献を教えていただけたら幸いです!!

    • コメントありがとうございます。お疲れさまでした。参考文献は「運動生理学」建帛社です。http://www.amazon.co.jp/%E9%81%8B%E5%8B%95%E7%94%9F%E7%90%86%E5%AD%A6-%E7%9F%B3%E6%B2%B3-%E5%88%A9%E5%AF%9B/dp/4767918294/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1343391996&sr=1-1

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