はじめに
陸上競技を指導する上でどのような工夫をすればやる気(モチベーション)が上がるのかを考えてみます。やる気がある状態とは、自ら進んで陸上競技に取り組むようになることです。
いわゆる、外発的動機付けの状態ではなく内発的動機付けによって行動を起こしている状態です。
自己決定理論とは
自己決定理論(Self-determination theory)とは、アメリカの心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが1985年に提唱した動機づけ(モチベーション)理論です。自己決定の度合いが動機づけや成果に影響するという理論で、内発的動機づけと外発的動機づけは対立する概念ではなく連続したものであり、自己決定の度合いによって変化するとされています。
自己決定理論を理解するには、3つの心理的欲求と6段階の状態について知る必要があります。
詳しくは別の記事を読んでください。
3つの心理的欲求
1 自律性
自分の行動を自分自身でコントロールし、選択していると感じる欲求です。自分の意志で行動していると感じることが重要です。
これは、練習内容を自己の意思で決定させるプロセスを踏ませることではないでしょうか。
例えば、種目練習では自由にやらせてみる。走り込みの練習では、150m×3セット、または100m+50mを3セットか。のようにどちらかを選択させることで自分の意思で行動していると感じ、モチベーションアップにつながるかもしれません。
2 有能性
自分が行った活動で効果があると感じ、またそれによって自分には能力があると感じる欲求です。
これは、肯定的なフィードバックを丁寧に行うことではないでしょうか。
指導者は、取り組んでいる内容の中から良かった点を見つけ出し、その点を認めて褒めることで自信を育むことができます。
また、小さな目標を設定し達成感を短い期間で繰り返し味合わせることで成長を実感させることができそうです。
3 関係性
他者との繋がりや所属感を感じ、他者との良好な関係を築きたいという欲求です。
これは、仲間と協力する場面を設けることではないでしょうか。
例えば、スタート練習の時にスターターの役割を交互に行う。
幅跳びでは交互に砂の凹みを整えるなどです。また、その行為をしてくれた人にありがとうやサンキューなどの感謝の言葉をかけることを意識づけることでより関係性の欲求は高まりそうです。
まとめ
1. 練習内容を自己の考えや意見、工夫を取り入れる。
2. 指導者は取り組みの中で良かった点を見つけて肯定的なフィードバックを与え、成長を実感させる。
3. 指導者は他者に対して貢献できる場面を作り、存在感を実感させる。
自己決定理論をもとに考えると、人間は社会的な生き物であることを再認識します。内発的動機づけの形成には、他者との協力が必要な点も興味深いです。
走りやハードル走、トレーニングに関しての質問があれば気軽に質問してください。
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