セレンディピティ(偶然の幸運)
皆さんも、ふとした瞬間に「ひらめいた!」「あ、これだ!」という感覚を掴んだことはありませんか?
探していたわけじゃないのに、大切な気づきやアイデアに出会う──
そんな偶然の幸運を、 セレンディピティ と呼びます。
私の体験
今でもはっきり覚えています。
それは大学3年生の秋、関東新人大会の決勝の日のことです。
その年はずっと、自分のレースに納得がいかず、もやもやとした感覚のまま走っていました。
「何かが違う」「出し切れていない」「走りづらい」──
その大会の予選も準決勝も、どこか気持ちの悪い感覚で走っていました。
決勝は別日開催で、朝から電車の中で
「何が悪いのか」「なぜ、この感覚なのか」とずっと考えていました。
そして、レース前のアップ中。
ふと、腕の出し方を少し変えてみたのです。
その瞬間──
「えっ。何この感覚。」
と、全身に電気が走ったような感覚がありました。
まるで霧が晴れたような感じでした。
決勝では3位入賞。
翌年、最終学年では関東インカレ3位、全日本インカレ6位に繋げることができました。
この瞬間こそ、私にとっての セレンディピティ でした。
セレンディピティが生まれる条件
1. 行動量
動かないと偶然にも出会えません。
- たくさん試す、考える、調べる
行動の母数が多いほど、偶然のきっかけが増えます。
2. 好奇心と柔軟さを持つ
「なんだろう?」と思ったら試してみる。
- 予定外のことに立ち寄る
- 違うやり方を一度やってみる
3. 気づける感性を持つ
偶然が起きても、それに気づけなければただ通り過ぎるだけ。
- 違和感や面白さに敏感でいる
- 「なんかいいかも?」と感じた瞬間をメモする
- あとから振り返る習慣をつける
4. 日々の準備と観察
スポーツでも研究でも、基礎を積み重ねている人ほど偶然をものにできます。
- ハードルのフォームを毎日観察していたから「これだ!」と分かる
考え探し続ける
偶然の幸運、偶然の気づきに出会うために、最も大切なのは「考え続けること」「探し続けること」だと思います。
私はハードル走のことを、ずっと考え続け、悩み続けていました。
だからこそ、あの日ふと降ってきたように感覚を掴めたのだと思います。
もちろん、楽観的に構えることも大事かもしれません。
しかし、私が強く感じるのは、尋常ではないほどの執着心が偶然の気づきを呼び込むということです。
あきらめずに考え抜き、探し続けることが、思わぬ瞬間の「ひらめき」をつかむ鍵になるのではないでしょうか。
根底にある想い
そして、最も大切なのは、その物事に対する想いの強さだと思います。
「速くなりたい」「勝ちたい」——ただその一心で、ハードル走のことが気になって仕方がない。諦められない。
そうした根底にある強い想いや価値観がなければ、考え続けることも、探し続けることもできないでしょう。
そして、その想いは時に、本人の意志をも超えたものなのかもしれません。
そう考えると、そこにたどり着くまでの道のり自体が、偶然のきっかけによって導かれているのではないかと感じます。
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