5月になり、一人で練習を始めて9カ月が経った。練習を始めて3ヵ月近くは、一人で練習を行うことがつらくて練習が積めなかった。しかし、ようやく一人での練習に耐えられるようになり練習のペースを掴めるようになってきた。(それでも、やはりつらさや寂しさはあるのだが)
今シーズンのレース結果は、初戦で14秒71、2戦目で14秒51、3戦目で14秒21と、14秒の前半まで戻すことが出来、練習の成果を実感することも出来ている。シーズンを迎える前から、ある程度一人でも出来るという感触を得てはいたが、タイムを出すことで練習のやり方に間違いはなかったと確信出来た。
だが最近、練習のなかでどうしても物足りなさを感じる所がはっきりと出てきた。それは走り出しの部分である。ハードルを並べて、スターティングブロックからアプローチを行うまでの13.72m。この部分を一人で走ると一歩一歩の間に隙が生まれて、力が上手く入らずスピードの立ち上がりが悪く、スピードに乗りきれない。一人で行っているので、「よーい、どん」を言ってくれる人もいないので緊張感も生まれない。
このことを感じた上で大会に出場し、両隣に人がいる中でスタートを切った時のスピード感と緊張感は全く違った。学生時代は、ハードルを2レーン並べて競い合いながら走る練習をよく行ったが、すごく良い練習だったと思う。学生時代は誰かと走ることが当たり前の環境だったからこのことに気づかなかったが、今競い合うことの大切さをものすごく感じている。
だが競う先には、勝ちと負けが待っているから、競い合う練習に対して割と、億劫になることがあると思う。自分も、高校生までは練習でのガチンコ勝負が結構嫌で、敬遠していた。けれど、競い合うことで負けたくないという思いを抱いたり、負けへの恐怖心を持つことは緊張感を生み集中力を高め、練習の質を上げることにつながると今は感じている。なので、競争は勝負というより、共に高め合うということを目的に行う方が考え方的には良いと思う。
練習の中では、競い合う必要がない練習も多くあり、競い合わない方がよい練習もあると思う。例えば、ウエイトトレーニングは自分と向き合いながら行う練習だろう。だが、経験からスタートダッシュだけは、2レーンから4レーン並べて競い合いながら練習を行う方が効果が高いと感じている。
昨今、「競争の原理」について色々と議論されているが、今まで自分の意見は持っていなかった。だが今回の体験から、やはり人の成長には競争は必要だと考える。競い合わなくても能力を伸ばすことは可能だと思うけれど、競い合った時始めて覚醒される能力もあると思う。また、競う相手がいることはやる気を起こさせる。競い合い、勝負をしないと自分を客観視出来ないし、成果の確認も出来ないから、定期的に競う機会は設けるべきだと思う。
今、練習パートナーが欲しい。