陸上競技 指導の方法

自身は、中学生からハードル走を始めたのだが、専門的な指導を受けたのは、大学の3年からでほとんどの時間は自分の感覚を頼りに練習を続けていた。指導者がいない場合、大切なことは、実践の中で感じる自分自身の感覚だ。

中高生の時、教えて欲しいと思うことは何度もあった。だが、自分の感覚で練習できたことも良かったと今は思う。

ハードル走の練習方法に科学的な根拠に基づいた答えはない。もし、自身の指導者が実績のある選手でハードルドリルを重視している人であったら、きっとハードルドリルをたくさんしていたと思う。

自分は、あまり人の意見を取り入れる度量がない。それは課題だが、その代わり自分を信じて努力ができる時がある。それがハマったのが陸上競技だったのだと思う。

世の中の大半のことは、科学的な根拠によるものではない。特にスポーツは。時として、自分の感覚を信じて突き進むことが正解の時もあるかもしれない。

影響力のある人物は、やっている人の感覚を鈍らさせることがあると思う。このドリル微妙だなと感じても、その指導者が実績ある人であったらそれをやってしまうだろう。だから指導する側は、しっかりとそれにどんな効果があって、どうしてそれをすべきかの意味や目的を理解して説明してから、やらせなければならないと思う。

そうでなければ、本人の感覚を邪魔することになるのではと。そのようなことを考えた。

110mh 100mh ハードル走における走力の重要性

この動画は現在の110mh、日本記録保持者である泉谷駿介くんの高校生の時のレースである。追い風+2.2 で14秒35。

これを見ると、いかに走る力がタイムに影響しているかがわかる。当時の泉谷くんのハードリングの技術は高くない。けれどタイムは、インターハイの決勝に残れるほどだ。

最近は、何度もこのブログで言っていることだが、やはり走力の向上が大事なことである。ハードリングは後からついてくるので、最重要強化課題は走力だと思って練習してほしい。

110mh 100mh ハードル走 腰が落ちることについて

ハードル走をやっていると、腰が落ちるんです。という相談をよく受ける。この腰が落ちるという現象は直そうとして直るものではないと思っておいた方がいい。

さらに、この腰が落ちるという現象だが、トップ選手以外はほぼ落ちると思っておいていいと思う。誰もが、微妙に落ちるし、腰は乗り切れていない。

とは言え、自分も高校生の時は、ずっと腰が落ちていると思って悩んでいた。だが、この時比較していたのは劉翔。こういうのをイメージしていた。高校生の自分がこのような動きを目指したところで筋力がないので、実現はできないのだ。

ちなみに、以下の写真は、大学4年の時の自分だ。一応、日本選手権に出場できるレベルではあったが、腰は落ちている。

これは直そうと意識しても簡単に直るものではないので、あまり気にしすぎない方がいいと伝えたい。大抵の場合、走力や筋力が高まるにつれて、腰の落ちは改善に向かっていく。技術は、単体で存在しているわけではなく、筋力や走力が高まることで習得できるものが多い。単に、一部分だけ(腰が落ちている部分)を切り取って直そうと思っても、ほぼ直すことはできない。理想の動きの習得には、段階を踏まなければならない。そのように考えておいた方がいい。

繰り返し何度も言うが、大事なことは走力の向上だ。ハードル走は、ついつい、形に目がいってしまう。しかし、形(技術)よりも走力や筋力の向上に目を向けた方が伸びしろが多いので、そこに目を向けて練習を頑張ってほしい。

110mh 100mh ハードル走のハードルドリルについて

ハードルドリルについて、自身の考えを書いておこうと思う。まずはじめに私は、あまりハードルドリルに時間を費やしてきた選手ではないということ。また、高校の全国強化合宿や大学で専門の先生に指導してもらい、一通り教えてもらってはいるが、決してドリルに関して、深い知見があるわけではないということを踏まえてもらいたい。

私は、このブログにも頻繁に書いているが、初心者の人やまだハードルに対する慣れが十分ではない人にはハードルドリルを行うことを勧めてはいない。その理由は、自身の中学、高校時代の経験の中で、ハードルドリルをやってタイムが向上した実感がなかったからだ。

自身の経験や感覚では、初心者ほどハードルをどんどん跳んだ方が成長が早いと考えている。なので、私は高さを下げたり幅を狭めたりしてハードルを跳ぶ練習を勧めている。

そのような考えをもってはいるものの、これはやってよかったと思えるドリルがある。

それは、一歩ハードルだ。

上記の動画で紹介されている。

これは、自身の経験では踏み切る練習、着地の姿勢を作る練習になると実感している。また、ジャンプトレーニングとして、バリスティックトレーニング(爆発的なパワー発揮)にもなる。

ここで思うことは、実践の動きを頂点とし、歩きながらのドリルを一番下とするならば、頂点よりの動きのドリルを優先的に行う方がよいのではと考えている。ドリルをすることを勧めてはいないが、するならより実践に近い動きを優先して行い、習得していく方が、初心者は成長が早いのではと考えている。

陸上競技に限らず、どんな分野でも基礎の徹底は重要だと言われる。だが、限られた時間の中で成果を出すには必ずしも、ドリルに時間を費やすことがよいとは言えない気がしている。

この記事を書いたのは、安易にドリルをすればハードリング技術が身につくと考えて、それに時間を費やしすぎないようにして欲しいからだ。最終的には、実践してみて、自身の感覚を信じてドリルをたくさんするか、必要だと思うものだけをするか、あまりしないかを判断して欲しい。